2026-10-26
離婚で家を売る流れ|名義・ローン・財産分与・税金で先に確認したいこと

「離婚することになった。住んでいる家を、どうすればよいのか」——離婚のご相談で、とても多いお悩みです。
家は、金額が大きく、ローンや名義も関わります。順番をまちがえると、あとでもめたり、税金で困ったりすることがあります。この記事では、離婚で家を売るときの流れと、先に確認したい点をまとめます。
なお、離婚そのものの法律判断は、弁護士の分野です。税金は、税務署や税理士の分野です。ここでは、不動産の立場から、基本をご案内します。
離婚で家を売る、全体の流れ
まず「誰の名義か」と「ローンがいくら残っているか」を確かめます。
大まかな流れは、次のとおりです。
1. 名義とローンを確かめます。 名義は「登記事項証明書」で、ローンの残りは、金融機関の書類で確認できます。 2. 売るか、どちらかが住み続けるかを、話し合います。 3. 査定を取って、売れそうな価格の目安を知ります。 4. ローンの残りと、売却の見込み価格を比べます。 5. 売却の取り決めを、書面に残します。 離婚協議書などに、書いておくと安心です。 6. 不動産会社と媒介契約を結び、売り出します。 売買契約、引渡しへと進みます。 7. 売却代金を分けて、税金を確認します。
先に確認したい3つのこと
1. 名義:共有名義なら、全員の同意が必要です
夫婦の共有名義の場合、共有物に変更を加えるには、他の共有者の同意が必要です。一般に、家全体を売るには、共有者全員の同意が必要になります。
自分の持分だけを売ることもできますが、一般に、買い手がつきにくくなります。離婚の話し合いが進まないと、売却も進みません。
2. ローン:売却代金で、完済できるかを確かめます
家を売るときは、買主様に引き渡す前に、ローンの担保(抵当権)を外す必要があります。一般に、そのためにはローンの完済が必要です。
売却代金より、ローンの残りが多い場合(オーバーローン)は、不足分の資金が必要になります。進め方は、別の機会に詳しくご案内します。
夫婦のあいだで「ローンは夫が払う」と決めても、金融機関との契約が、自動で変わるわけではありません。連帯債務や連帯保証、ペアローンの場合は、特に注意が必要です。連帯保証人の責任については、「任意売却で連帯保証人・連帯債務者はどうなる?」でまとめています。
3. 財産分与:家も、分けるものに入ります
民法には、次の決まりがあります。
- 財産分与の請求:協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して、財産の分与を請求できます。
- 協議が調わないとき:当事者は、家庭裁判所に、協議に代わる処分を請求できます。ただし、請求できる期間には限りがあります。離婚の時期によって、扱いが異なる場合があるため、早めに弁護士や家庭裁判所へ確認しましょう。
- 寄与の程度:家庭裁判所は、婚姻中に取得し、または維持した財産の額や、各自の寄与の程度などを考えて、分与を定めます。寄与の程度が異なることが明らかでないときは、相等しいものとされます。
名義が一方だけでも、婚姻中に夫婦で築いた財産は、分与の対象になり得ます。一方、結婚前から持っていた財産などは、扱いが変わります。家が、どちらに当たるかは、個別の事情で変わります。迷う場合は、弁護士に確認しましょう。
売り方は、大きく2つあります
- 売って、お金で分ける:売却代金から、ローンと諸費用を引いて、残りを分けます。名義やローンの問題が、一度に片づきます。
- どちらかが住み続ける:名義の変更や、ローンの借り換えなどが必要です。一般に、金融機関の承諾が必要になることが多く、審査もあります。
「売る」と決まったら、どちらの方法でも、先に査定を取り、いくらで売れそうかを知っておくと、話し合いが進みやすくなります。仲介手数料などの費用は、「売却にかかる費用」のページで、上限額の計算表をご覧いただけます。
税金で、知っておきたいこと
国税庁の案内(令和8年4月1日時点)では、次のとおりです。
家を売って、現金で分ける場合
- 売って利益が出たときは、譲渡所得として、課税されます。
- 自分が住んでいた家を売るときは、一定の要件を満たすと、3,000万円の特別控除が使えます。
- 住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。
- 親子や夫婦など、特別の関係がある人への売却には、この控除は使えません。
財産分与として、家を渡す場合
- 土地や建物で財産分与をしたときは、渡した人に、譲渡所得の課税が行われます。収入金額は、渡した時点の時価です。
- 受け取った人は、受け取った日の時価で、取得したものとして扱われます。
- 離婚で財産をもらっても、通常は、贈与税はかかりません。ただし、多すぎる場合は、多すぎる部分に贈与税がかかります。
3,000万円の特別控除が、財産分与にも使えるかは、国税庁のこのページからは判断できません。税務署や税理士に、確認しましょう。売却にかかる税金の基本は、「不動産売却にかかる費用と税金」にまとめています。
売る前に、話し合いで決めておきたいこと
- 売り出す時期と、最低限の売却価格の目安
- 不動産会社との連絡の窓口を、誰にするか
- 売却代金から、ローンと諸費用を引いた残りの分け方
- 引っ越しの時期と、その間の住まい
- 内覧の対応をどうするか
- 連絡が取りにくい場合の、連絡方法
離婚の話し合い中は、直接のやり取りがつらいこともあります。そのような場合は、窓口を一本にして、不動産会社を通じて進める方法もあります。
まとめ
- まず、名義とローンの残りを確かめます。
- 共有名義なら、売るには、共有者全員の同意が必要になります。
- 家は、財産分与の対象になり得ます。迷うときは弁護士へ。
- 売って分けるか、財産分与で渡すかで、税金の扱いが変わります。
- 売却の取り決めは、書面に残しましょう。
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参考にした資料:民法、国税庁「タックスアンサー」(令和8年4月1日時点)
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